電力自由化や発送電分離、原発再稼働問題などでここ10年逆境にいる電力会社ではありますが、潰れることは滅多な限りありません。実際働いていて強くそれを感じます。
不況に応じて給料が下がることはありますが、大幅にカットされることもありません。
どんな会社であろうと、倒産するリスクがゼロの企業はありません。
それを考慮すると、もし電力会社でさえ潰れるような状況な時は、他の業界や会社は更にきつい状態です。
発送電分離や電力自由化の波が来ようと、安定やリストラされないことを求める方であれば、依然電力会社は選択肢としてかなりおすすめです。
2020年、特にコロナウイルスが流行り、特に電力会社の安定性を身を以て実感しています。
「潰れない」という意味では安定
「とにかく倒産するリスクを避けたい。」
「給料の上げ幅下げ幅のある会社が嫌。」
「リストラされたくない」
そういったことを求める方にとって、電力会社はめちゃめちゃおすすめです。現に実際中で働いている方々は、そういった趣向が強いです。
確かに平均年収も一般的に見て高い部類にある電力会社ですが、中にいる人は皆安定志向です。
「もっと稼ぎたい!」
「年収1000万は確実に超えたい!」
「とにかく数字を残したい!」
そんな方は外資系金融や商社に進まれるでしょう。
電力会社に就職する人のほとんどは、「安定」を求めています。
現に、中で働いていて、ほとんどの人がそこに満足感を覚えています。
皆楽しそうです笑
給料のダウンは普通に起こる
そんな電力会社ですが、どんなときも安定しているかといえば、そんなことはありません。
給料がめちゃめちゃ高くて、年齢とともにグングン上がっていくというイメージは過去の電力会社です。
周りの親御さんや親戚の方が、「電力会社はいいぞー」というのは、大半は過去の電力会社の方の話を聞いてだと思います。
昔は、年2回のボーナスに加え、秋にも臨時ボーナスが当たり前のように出ていたみたいです。
しかし震災以降、どの電力会社も状況が厳しいことには変わりありません。
電力会社によって変わりますが、大きな要因は原子力発電所の停止です。現在は稼働している発電所もありますが、当時は一斉にストップしました。
その時にどの電力も苦境に立たされ、株価が大きく下落したのを覚えています。
そこからは社員の給料の見直し、経費削減、福利厚生の縮小が徹底的に始まっていきました。
現に10年前に比べ、電力会社の給料は下がっています。(今は安定傾向にあります)
原則、一度下がった給料は戻りにくいです。
上げたものを下げるのが難しいので、一回給料を下げてそれで会社が回るなら、そのまま進んでいくのがセオリーです。
逆にいうと、今までの電力社員はもらいすぎていたのです。
現状、電力会社は死ぬほど美味しい勤め先ではありません。
それでも安定性、給料、仕事のきつさを省みると圧倒的にオススメできる企業ではあります。
今後10年は更に厳しい
今後10年もなかなか給料が上がっていく状況は厳しいでしょう。
それらの理由を解説します。
電力自由化・発送電分離による新規参入
まずは発送電分離による新規参入企業の増加です。
2018年電力自由化、2020年発送電分離により、電力会社でない企業も電気を販売することが可能となりました。
例えばau電気やガス会社により電気の販売です。
今後これらの勢力は更に伸ばしてくると思います。
ただ現状、まだまだ電力会社を変更していない人がほとんどではあります。
それでも楽になることはないでしょう。
地方衰退による送電設備保守費用
電柱や電線などは全て電力会社の持ち物であり、保守を行なっているのも電力会社です。
田舎に住んでいる方はわかると思いますが、人がいない過疎地域でも電柱は普通にありますし、電力社員が点検や修理などを行なっている現状です。ただそういった知識は人口も少ないので収益を生みません。今後、人口減少と過疎化により、この流れはどんどん強まっていきます。赤字とわかっている事業を継続するのと同じ状況なのです。
それでも撤退できないのは、電力がインフラ事業だからです。
「あそこの地域は田舎すぎるから、電柱撤去するわ」なんて言ったら、そこに住んでいる住民の方は生活できなくなってしまいます。JRの電車と同じで、儲からないとわかっていてもやめることができない辛い状況にあるのです。
当然設備費だけではなく人件費もかかるので、電力会社の財布を圧迫することになります。
どの会社でもリスクはある
原発停止から始まった電力会社の不況ですが、依然かなりの安定した会社だと思っています。
特に今回のコロナ騒動で強く安定性を感じます。どの業界もかなり厳しい状況の中、インフラである電力は絶対に必要不可欠なものです。サービスの供給が止まることは絶対にないのです。コロナでの給料減は一切ありませんでした。
また、いくら電力自由化で競合が出てきても、大量の電力を発電できるのは、電力会社だけです。電力会社の需要はかなり固いものです。
そして僕は電力会社がノーリスクだとも思っていません。2020年のコロナウイルスなんて、誰も想像できなかったはずです。そのような形で、人生・会社は一体どうなるか誰にもわからないのです。
どの会社にも父さんのリスクはあります。
ただそれを省みても、電力会社のリスクはものすごく低いです。電力会社が倒産する状況であれば、他の会社もどんどん倒産してくと思います。リスクをゼロにすることはできませんが、最小限に抑えることは、電力会社に就職することで叶うでしょう。
市場価値が上がらない。(電力を辞めた時、何のスキルもない)
最後に電力会社で一点、不安定だなと思う点を挙げます。
それは、個人の市場価値がなかなか上がらないということです。転職市場に出た時に、電力会社で働いていたことはそこまで大きなバリューにはなりません。多少若さがあれば、「電力に就職したのだから優秀な人なんだろう」とポテンシャルを買って採用してくれる企業はありますが、個人の能力を買って中途で採用してくれる会社はまずありません。
まず、電力会社で覚える業務のほとんどは、社外で使いません。社内特有の書類のルール、仕事内容を覚えていくだけです。
特段どこでも使えるスキルが身につくわけではありません。というか、全く身につきません。仮に電力会社へ転職するのなら使えますが、他業界となると、まず意味がありません。
そう言った意味では、電力会社に就職するリスクはあると言えます。
一度、辞めたくなると電力はきつい
辞めたくなった時は、割ときつい現実が待っています。
人生は何が起こるかわかりません。超パワハラ上司に当たったり、電力会社の業務がガチで面白くなくて、幻滅するかもしれません。(僕)
だから会社としてはかなり盤石な企業ですが、個人単位のリスクは普通にあるのです。
給料とは別に5〜10万稼ぐと心に余裕ができた
だから電力会社で働いているリスクを下げる為に、僕がやっているのは副業で5〜10万円稼ぐことです。
これによりかなり心に余裕ができます。また、もし電力をやめて普通の会社に入っても、自動で入ってくる10万円があれば、別に生活に苦労はしないでしょう。普通の電力社員よりも給料は多くなります。
副業で稼ぐようになってから、仕事に対して余裕ができたのはほんとうに良かったです。
多少給料が下がっても、電力会社の安定性と副業での収入で、かなり人生の満足度は高いです。
もし、電力会社に魅力を感じている方は、強くオススメできる企業ではありますが、みなさんなりのリスクヘッジは必ずやっておいたほうがいいです!